お疲れ様です。
今回は認定試験問題集について後輩から相談がありました。
後輩はどう考えたのか、その内容についてどう考えて答えたのかを書かせていただきます。
実際の問題について
表在領域を受験する後輩から「この問題について教えて欲しい」と相談がありました。

甲状腺左葉結節の超音波像から正しい所見を2つ選ぶのですが、
- 外側陰影を認める
- 内部エコーは均一
- 内部に石灰化病変を認める
- 境界部に低エコー帯を認める
- 浅頸筋へ直接浸潤を認める
画像問題の選択肢に「境界部に低エコー帯を認める」とあり、そうだと思っていたら違ったと。
なるほど…これは選びたくなるかも
正解は内部に『石灰化病変を認める』と『浅頸部へ直接浸潤を認める』でした。
解説を読むと『境界部低エコー帯を認めず』のみ。
正解に納得はしているものの、これは低エコー帯ではないの?という点がひっかかるようです。
境界部低エコー帯とは?
日超医では、
境界:腫瘤と非腫瘤部分の境
辺縁:腫瘤内の外側域で境界の近傍
周辺:腫瘤近傍の非腫瘤部分
とされています。
かつ、甲状腺超音波診断ガイドブックでは『境界が不明瞭な場合は辺縁や周辺もあいまいになる』と記載されています。
それをふまえて画像を見てみると、どちらかというと低エコーなのは辺縁のような…
次に鑑別するとしたら?を考えてみました。
考えられる病理診断を挙げてみる
甲状腺結節(腫瘤)の超音波診断基準に当てはめると
- 形状不整
- 境界は不明瞭・粗雑
- 内部エコー高~低・不均質
- 高エコーあり
- 境界部低エコー帯(-)?
主所見で悪性所見がほぼ当てはまるので悪性、しかもこちらの診断基準は悪性の90%を占める乳頭癌に特徴的なので、乳頭癌を考えます。
となると、境界部低エコー帯は『なし』と判断してもいいのかなとも。
今回悩んだ理由を考えてみる
画像問題の症例では、腫瘤中心部が高エコーでした。明らかな乳頭癌の画像ではないので悩んでしまったようです。
不均質だったらよく遭遇しますが、今回のようなきれいなドーナツ状だと少し判断に悩むのかもしれません。
一概にはいえませんが、境界不明瞭・粗雑で微細高エコーを認めた場合私は乳頭癌をまず考えます。
先月開催されたJABTSでのお話
関連しそうな内容を少し
- 細胞密度が密ではなくなる(浮腫状の間質を伴う等)と内部エコーが高くなる
- 腺腫様甲状腺腫で見られる微細高エコーの正体は?シュウ酸カルシウム結晶、かつ大きさが100~200µ㎜の場合エコーで見られる。乳頭癌で見られる砂粒体はもっと大きい(または密に固まっている)。
今回の件で後輩の成長を感じました。勉強しないと疑問すらわかないですからね。
最後までご覧いただきありがとうございました。
【免責事項】
本記事は、超音波検査士認定試験の学習・教育を目的として執筆しています。
医療上の診断・治療を代替するものではなく、記載内容の正確性や完全性を保証するものではありません。
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