JASE左室拡張能評価ガイドライン2025|2016版から何が変わった?

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左室拡張機能障害の診断手順 勉強会・学会

2025年にJASE(ASE)から左室拡張能評価のガイドラインアップデートが公開されました。
2016年版を基準に日々の検査や試験対策をしてきた方にとって、今回の改訂は“何が変わったの?”と気になっている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、現場のソノグラファー視点で今回の変更点を分かりやすくまとめてみました。

※本記事はガイドラインの要点を個人の理解で整理したものです。

今回の改訂の本質

今回の改訂は、「左房リザーバーストレイン値(LARS)などの新たな機能的指標を導入することで、『判定不能』な症例を大幅に減らし、HFpEFの診断精度を現代的かつ実用的に進化させた改訂」だと言えます。

アップデートの理由

2016年の旧ガイドライン公開以降に蓄積された新しい知見を反映し、診断の不確実性を解消するためです。

具体的には以下が挙げられています。

新しい指標(左房リザーバーストレイン値(LARS))の登場

2016年のガイドライン以降、左房リザーバーストレイン値(LARS)などの新しい心エコー指標と、それが左室充満圧とどのように関連するかについての新しいデータが明らかになりました。

「判定不能」症例の削減

2016年のアルゴリズムでは、データの不足や指標間の矛盾、あるいは除外基準の不確実性により、「判定不能(indeterminate)」や「分類不能」とされる症例が許容できないほど高い頻度で発生していたため、これを改善する必要がありました。

資料に基づくと、判定不能(indeterminate)に分類される症例は、従来の2016年版ガイドラインのアルゴリズムと比較して約45%減少することが報告されています。

予後データの蓄積

疫学研究により、心エコーによる測定値がその後の心不全発症とどのように関連するかを示す予後データが得られたことも大きな理由です。

EFの扱い

2016年の旧指針では、EFが正常か低下しているかで診断経路を分ける側面がありましたが、今回の改訂では、洞調律の患者であればLVEFの値に関わらず共通のメインアルゴリズムを適用することになりました。これにより、日常の検査現場でより実用的かつシンプルに判定が進められるようになっています

「EFの値で診断の手順を分けるのをやめ、一つの共通ルールを使いつつ、GLSやLARSといった新しい指標でEFでは見抜けない初期の心不全をより確実に診断する」という扱いになりました。

心エコー図学会第30回冬季講習会

まだ翻訳されてない今回の内容、心エコー図の最前線で活躍される先生方はどのように解釈し、どのように活用するのか知りたいと思い、他知識のブラッシュアップも兼ねて心エコー図学会講習会に参加しました。

全体的な感想についてはこちらの記事にまとめています。
➤心エコー図学会講習会に参加してきました|内容・難易度・正直な感想

重要な変更点

  • e’のカットオフ値が変更
  • Eのカットオフ値が変更(E/e’から逆算するとE>91cm/secだそう)
  • 「判定不能」がなくなった

の3点を挙げられていました。

今回のアルゴリズムは現場でどのように活用する?

まず注意点として、

  • 子供、通常の妊婦、または術中の評価にはいることはできない
  • 拡張能評価は、臨床症状やそのほかの指標も含めて、総合的に判断すること(短絡的に数字に踊らされない)
  • 拡張能の各指標は、画像、ドプラ波形の質により影響を受けること、また各パラメーターlimitationも考慮すること
  • 心エコー技師は、各指標の背後にある生理学的根拠、頼性を低下させる要因、および正しい画像、ドプラ波形の取得および計測についてしっかりと理解しておく必要がある

こちらを踏まえたうえで評価をしていきます。

講習内で、杉本邦彦先生がおっしゃっていた考え方がとても理解しやすいと思いました。

今回のガイドライン内に記載されている【Steps for diagnosing LV diastolic dysfunction.】を参考に、

Steps for diagnosing LV diastolic dysfunction.(左室拡張機能障害の診断手順)を翻訳しました
  1. 左室弛緩障害の有無
  2. 左房圧上昇の有無

を評価して、アルゴリズムで確認します。

レポートにはどう書く?

先生方は「Grade評価は記載しない」のだなあという印象を持ちました。

左室弛緩障害の有無や左房圧上昇の有無は書かれるそうです。

個人的感想

今回「判定不能」がなくなったことは大きなことだと思います。

収縮能評価のイメージだったGSV解析はHFpEFの早期診断としても重要な立ち位置となりました。

ただ、GSV解析やLA strainは専用のソフトがないと計測できない…少しもどかしさは感じます。

「IVRTはデュアルドプラによる計測が正確かも」と水上先生は仰っていたので、富士フイルムのエコー機が有利なのかなあとも感じました。

まとめ

今回のガイドライン改訂では、拡張能評価がより臨床・予後重視へと進化しました。

・LA strainの重要性の上昇
・HFpEF診断との結びつき強化
・総合判断を重視する評価へ

アルゴリズム中心から「理解中心」へと大きく方向転換した印象です。

今後の臨床や試験対策においても、今回のアップデートは重要なポイントになりそうですね。

引用:

おのこ

サイト運営者:おのこ

本サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
私は関東在住の臨床検査技師です。
超音波検査で全身スキャン出来るようになりたい!という気持ちから
・超音波検査士(消化器・表在・循環器・泌尿器・けんしん)
・血管診療技師
・JHRS認定心電図専門士
・乳がん検診精度管理中央機構認定技師
を取得しました。
このブログでは、超音波検査の症例や参加した学会・勉強会の感想、超音波検査士認定試験について書いています。
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