お疲れ様です。
寒くなってきましたね。
受験される皆さんはこの時期、試験勉強はもちろんのこと体調管理が大事です。
どんなに頑張って勉強しても当日体調を崩してしまうと実力が出せず、後悔が残ると思います。
じゅうぶんな睡眠時間をとって栄養のあるものを食べて過ごして下さい。
今回は日超医さんから公開されている『UlPus:超音波医学教育 超音波検査の原理』の内容を元に問題を16問作成してみました。休憩時、気晴らしにでもご覧ください。
※決して「この内容が出題される!」という予想問題ではありません。
問題→回答→解説の順に書かせていただいています。
【問題1】超音波診断で用いられる周波数について、可聴音と比較して正しい記述はどれですか。
- 可聴音の数分の一程度の低い周波数が使われる。
- 可聴音と同じ周波数帯域が使われる。
- 可聴音の10倍程度の高い周波数が使われる。
- 可聴音の100倍程度の高い周波数が使われる。
- 可聴音の1000倍から1万倍高い周波数が使われる。
正解:5.
解説:超音波診断では人音声の1000倍から1万倍高い周波数が使われます。
【問題2】超音波振動子に用いられる素子が、電圧を加えると伸び縮みすることで超音波を発生させる効果を何と呼びますか?
- ドップラー効果
- ホール効果
- ゼーベック効果
- ピエゾ効果
- 熱電効果
正解:3.
解説:超音波振動子は、電圧を加えられるとピエゾ効果により伸び縮みする素子(ピエゾ素子または圧電体)を用いて、電圧の変化を機械的な振動に変換して超音波を発生します。
【問題3】一つの超音波振動子に送信回路と受信回路の両方が接続されていても、両者を電気的に分離できる主な理由は何ですか?
- 送信と受信で利用される電圧レベルが大きく異なるため。
- 超音波の発生時間(パルス幅)が非常に短いことに対し、エコーを受信するまでの遅延時間が長いため。
- 送信時は交流、受信時は直流の電圧を使用するため。
- ピエゾ素子が送信時と受信時で異なる素子面を使用するため。
- 送信時には周波数が低く、受信時には周波数が高くなるため。
正解:2
解説:超音波を発生する時間(パルス幅、通常1マイクロ秒以下)に比べてエコーを受信するまでの遅れ時間(10ミリ秒以上)が長いため、送信回路と受信回路を分離できます。
【問題4】平らな板状の振動子を用いた場合、なぜ空間分解能の高い画像が得られないのですか?
- 振動子の幅が広すぎるため、発生した超音波が分散しやすいため
- 超音波ビームがある程度距離が離れると回折(解説)して広がり、空間分解能が低下するため
- パルス幅が必然的に長くなり、距離分解能が低下するため。
- 平板状ではピエゾ効果が十分に発揮されないため
- 振動子の温度制御が難しいため。
正解:2.
解説:平らな板状の振動子から超音波を発生すると、ある程度距離が離れると回折して広がり、この広がりによって空間分解能が低下します。
【問題5】アレイ型プローブにおけるビームフォーミング技術の最も重要な特徴であり、多面型振動子よりも優れている点は何ですか?
- 振動子素子の数を減らせること。
- プローブを小型化できること。
- 形成される超音波ビームの焦点の位置を自在に変えられること。
- 超音波の減衰を完全に打ち消せること
- 送受信信号のデジタル化が容易であること。
正解:3.
解説:ビームフォーミング技術(遅延制御)の最大の特徴は、形成される超音波ビームの焦点の位置を自在に変えられることです。
【問題6】リニア型プローブにおいて、1枚の断層画像を取得するための横方向のビーム操作は、どのように実現されますか?
- 全てのアレイ素子を一斉に駆動し、得られたエコーの到達時間差で横方向を判断する。
- プローブ全体を高速で機械的に左右に振動させる。
- ビームフォーミングを行う振動子のセットをスイッチで切り替えながら、少しずつずらしていく。
- 超音波の周波数を横方向に変調させる。
- 振動子アレイ全体を傾斜させる遅延制御のみで行う。
正解:3.
解説:リニア型では、振動子アレイの中から一部分を1セットとしてビームフォーミングを行い、そのセットをスイッチで切り替えながら少しずつずらしていくことにより操作を実現します。
【問題7】腔内式プローブが、体外式プローブよりも高分解能な観察を可能とする主な理由は何ですか?
- 内部臓器の反射率が体表面よりも高いため
- 体内では超音波の減衰が起こらないため。
- 観察対象の近くまで接近できるため、
- 体内挿入型は常にセクタ操作を行うため。
- 体内ではノイズが少なく、信号処理が簡単になるため。
正解:3.
解説:体内挿入して用いられるプローブは、観察対象の近くまで接近できるため、周波数の高い超音波で高分解能な観察が可能になります。
【問題8】生体組織中を伝搬する超音波は減衰するため、深い部分からのエコーは弱くなります。この減衰を補正し、深い部分からのエコーを見えるようにするために、受信信号に対して最初に行われる処理は何ですか?
- 検波
- 輝度変換
- 空間フィルタリング
- STC
- 対数圧縮
正解:5.対数圧縮
解説:深い部分から戻ってくるエコーは大きく減衰するため、まず対数圧縮という処理を行うことで、深い部分からのエコーが見えるようにします。
【問題9】受信信号処理の一つである「検波」は、画像生成のために具体的にどのような処理を指しますか?
- 超音波の減衰を補正する処理
- エコーの発生源までの距離を算出する処理
- エコーの包絡線を作る処理
- エコー信号の周波数を測定する処理
- 画像のコントラストを調整する処理
正解:3.
解説:検波はエコの包絡線を作る処理であり、その後、包絡線の大きさが輝度(例えば256階調)に変換されます(輝度変換)。
【問題10】超音波診断において、使用する超音波の周波数を高くした場合、Bモード画像の空間分解能と、生体組織内での超音波減衰はそれぞれどうなりますか?
- 分解能は向上し、減衰は小さくなる
- 分解能は低下し、減衰は大きくなる
- 分解能は向上し、減衰は大きくなる
- 分解能は低下し、減衰は小さくなる
- 分解能は変化せず、減衰のみ大きくなる
正解:3.
解説:高い周波数を用いるとBモード画像の空間分解能が向上しますが、生体組織での超音波減衰が大きくなるため、深い部分が見えにくくなります。
【問題11】超音波診断装置が利用するエネルギーの種類として、最も適切に説明されているものはどれですか。
- 周波数の高い電磁波
- 電磁エネルギーの粒である光子
- 物体に圧力を及ぼし、運動エネルギーを持った圧力波
- 分子の共有結合を壊す化学エネルギー
- 体温上昇を引き起こさない静的エネルギー
正解:3
解説:超音波診断装置が使用する超音波は、物体に圧力を及ぼし、動くことによる運動エネルギーを持った圧力波です。これに対し、X線診断装置が使用するのは周波数の高い電磁波(電磁エネルギーを持つ光子)です。
【問題12】診断に用いられる超音波によって、1個の水分子が受け取るエネルギーレベルの特徴について、最も正確に述べられているのはどれですか。
- X線の光子よりも6桁高いエネルギーレベルにある。
- 治療用超音波と比べて3桁ほど高いレベルにある。
- 可視光の光子が持つエネルギーより低いレベルにある。
- 水分子の共有結合を確実に破壊できるレベルにある。
- 核医学検査のβ線と同等の高いレベルにある。
正解:3
解説:診断用超音波によって1個の水分子に分け与えられるエネルギーは小さく、最大でも可視光の光子が持つエネルギーより低いレベルにあります。このエネルギーは、分子構造を壊さずに分子の振動を増やすために使われます。
【問題13】我が国の認証基準により、診断装置に使われる超音波のエネルギーレベルは、1cmあたり何W(ワット)に制限されていますか。
- 0.01 W
- 0.72 W
- 5 W
- 500 W
- 10の9乗 W
正解:2
解説:診断装置に使われる超音波のエネルギーレベルは、我が国の認証基準により1cmあたり0.72 Wに制限されています。これは、X線の光子に比べると10億分の1のレベルです。
【問題14】連続波とパルス波を比較した場合、パルス波の定義として正しいものはどれですか。
- 振動の周期が非常に長い波
- 周波数スペクトルを持たない波
- 入射角と反射角が等しくなる波
- 一過性で持続時間の短い波
- 振動が持続する波
正解:4.
解説:連続波が「振動が持続する波」であるのに対し、パルス波は「一過性で 持続時間の短い波」であると定義されています
【問題15】超音波の波長が短くなると、画像上でどのような影響が現れますか?
- 分解能が低下する
- 分解能が向上する
- 減衰が減る
- 到達距離が伸びる
- 反射率が下がる
正解:2
解説:波長が短い(=高周波)ほど小さな構造を識別できるため分解能が向上します。ただし減衰が大きくなり、深部の描出は難しくなります。
【問題16】超音波の「減衰」に最も関係が深い要因はどれですか?
- 反射と透過
- 吸収と散乱
- 音速差
- 位相差
- インピーダンス差
正解:2
解説:減衰は、媒質中で超音波エネルギーが吸収・散乱されることで生じます。特に高周波ほど減衰が大きくなります。
以上です。
難易度はそんなに高くはないと思うのですがいかがだったでしょうか。
今回の内容が超音波検査士を受験される方のお役に立てると嬉しいです。
最後までご覧いただきありがとうございました。

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