いよいよ今週は第99回日本超音波医学会学術集会ですね!
今回もプログラムのボリュームがすごいです。気になる内容盛り沢山です。
学会プログラムを見る楽しさのひとつは、「今、超音波の世界で何が注目されているのか」が見えてくることだと思います。
第99回日本超音波医学会のプログラムを眺めていると、AI、POCUS、CEUS、エラストグラフィ、循環器領域のHFpEFやSHDなど、海外でも話題になっているテーマと重なる内容が多く並んでいました。
この記事では、海外の超音波トレンドと照らし合わせながら、今回の学会の見どころを技師目線で整理してみます。
海外の超音波トレンドはどこへ向かっている?
海外の超音波領域では、AI、POCUS、携帯型超音波、CEUS、エラストグラフィ、超音波ガイド下手技などが注目されているように感じます。
これらに共通しているのは、超音波を「検査室で行う画像検査」から、「臨床のその場で判断を支えるリアルタイムツール」へ広げようとする流れです。
第99回日本超音波医学会のプログラムにも、AI、POCUS、エラストグラフィ、SHD、HFpEFなど、海外トレンドと重なるテーマが多く見られました。
AIは診断支援からワークフロー支援へ
AIというと、どうしても「診断を置き換えるのか」という話になりがちです。
しかし海外の流れを見ると、AIは診断だけでなく、画像取得の補助、計測の自動化、ワークフロー改善、見落とし防止など、日常検査を支える方向にも広がっています。
第99回日本超音波医学会でも、AIを“特別な技術”としてではなく、各領域の臨床や研究にどう組み込むかという視点で見てみたいと思います。
POCUSと携帯型超音波の広がり
海外では、POCUSや携帯型超音波の普及により、超音波は検査室だけのものではなくなりつつあります。
救急、病棟、外来、在宅、地域医療など、患者さんの近くでリアルタイムに使う技術として広がっています。
ただし、誰でも簡単に使えるからこそ、画像の質、判断の妥当性、記録や責任の所在も重要になります。第99回では、POCUSを“便利な道具”としてだけでなく、“安全に臨床へ組み込む技術”として聴講したいです。
CEUS・微細血流・エラストグラフィの進化
今回、個人的に面白いと感じるのが、CEUSや微細血流、エラストグラフィなど、“見える”をさらに深めるテーマです。超音波は形を見る検査から、血流、硬さ、組織性状、治療効果まで評価する検査へ広がっています。
海外でも、CEUSやエラストグラフィは肝疾患、腫瘍、乳腺、甲状腺など多くの領域で注目されています。今回、こうした技術がどこまで日常診療に近づいているのかを見てみたいところです。
循環器はHFpEF・SHD・女性心血管疾患に注目
循環器領域では、HFpEF、SHD、右室・肺循環、女性心血管疾患など、単に心機能を測るだけではなく、病態をどう表現型として捉えるかが重要になっています。
心エコーは、EFや弁膜症評価だけでなく、治療前後の評価、性差医療、肺循環、拡張能など、より臨床判断に近いところで使われる検査になっていると感じます。
超音波ガイド下治療・手技支援の広がり
超音波というと、病変を見つけたり、臓器の状態を評価したりする「検査」のイメージが強いかもしれません。
しかし近年は、超音波を見ながら治療や手技を行う場面も増えています。針先、血管、神経、筋肉、腱、筋膜などをリアルタイムに確認できるため、より安全で正確な手技につながる可能性があります。
第99回日本超音波医学会では、運動器領域で「“痛み”に対する超音波ガイド下理学療法の新展開」というパネルディスカッションが予定されています。頚肩腕症候群、THA術後疼痛、慢性膝関節痛など、痛みに対する超音波ガイド下のアプローチが取り上げられており、超音波がリハビリテーションや疼痛治療にも広がっていることが分かります。
また、甲状腺領域では穿刺や生検、運動器領域では神経ブロックなど、超音波を用いた手技支援のテーマも見られます。
これからの超音波は、ただ「診る」だけでなく、「治療や手技を安全に支える」技術としても、さらに重要になっていくのではないでしょうか。
「見える」ことで、手技はより安全に、より確実になる。そこにも超音波の大きな価値があると感じます。
高周波化・病理との接続・制度化にも注目
個人的に気になっているテーマとして、29MHz超音波、乳癌取扱い規約第19版、乳房超音波読影補助制度があります。
まず注目したいのが、腎・泌尿器領域のシンポジウム「29MHz超音波の世界」です。29MHz Micro-Ultrasoundは、従来の経直腸的超音波よりも高い空間分解能を持ち、前立腺がん診断においてMRIと比較される新しい技術として取り上げられています
乳腺領域では、パネルディスカッション「乳癌取扱い規約19版が超音波検査に与えた影響」も注目したいテーマです。乳癌取扱い規約第19版では、浸潤性乳管癌の従来の亜型分類であった「充実型」「硬性型」「腺管形成型」が廃止され、新たに「肉眼型分類」および「浸潤形態と間質量」による分類が導入されています。抄録では、この改訂は単なる名称変更ではなく、腫瘍の外郭形態と辺縁・内部構築を分けて評価する枠組みへの再編であると述べられています。
さらに、パネルディスカッション「日本乳癌学会・日本乳癌検診学会による乳房超音波読影補助制度」も気になります。
乳房超音波検査は、撮像技術だけでなく、所見の拾い上げ、カテゴリー判定、精査へのつなぎ方が重要な領域です。読影補助制度というテーマは、超音波検査における技師の役割、医師との連携、制度上の位置づけを考えるうえで、とても大きな意味を持つと思います。
まとめ
他にも見どころ満載な今回の学術集会。
超音波検査に携わる身としても、ただ新技術を追うだけでなく、それが現場の診療や検査の質にどうつながるのかを考えながら学びたいと思います。

コメント