JSS参加レポ|エコー技術だけでなく、教育・研究・働き方を学ぶ学術集会へ

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勉強会・学会

JSSに参加してきました。
今回の会場は札幌です!

6月なのに湿気が無くて気持ち良い。さすが北海道

少し前まで、私が学術集会に参加する理由はとてもシンプルでした。

「少しでも新しいエコーの知識を得たい」
「明日からの検査に活かせる所見や走査のコツを知りたい」

もちろん、今でもその気持ちは変わりません。

ただ最近は、学会で見ているポイントが少し変わってきたように感じます。

一般演題では、どのようなテーマが、どのような切り口で発表されているのか。
質疑応答はどのように進んでいくのか。
教育方法、精度管理、研究方法、そしてソノグラファーとしての働き方。

今回は、単に「知識を得る」だけではなく、そうした学会全体の空気や、各施設での取り組みを学びたいと思い参加しました。

また、腹部画像研究会でいつも勉強させていただいている市原先生の講演を、ぜひ現地で聴講したいという思いもありました。

大会長企画1

医療の現場を支えた眼と技:北海道レジェンドソノグラファーの軌跡

最初に聴講したのは、大会長企画1
「医療の現場を支えた眼と技:北海道レジェンドソノグラファーの軌跡」でした。

長年、超音波検査に携わってこられた先輩方が、どのように学び、どのように後進を育ててこられたのか。
その教育方法や信念を拝聴したいと思い、参加しました。

講演からは、経験を重ねたからこそ得られる知識の深さと、多くのソノグラファーを育ててこられた重みが感じられました。

特に印象に残ったのは、乳腺エコーの学び方についてのお話です。

勉強会や症例提示に参加するだけでなく、提示された症例のシェーマを、まず自分で描いてみる。
そうすることで、今の自分には見えていないエコー所見に気づくことができる、という内容でした。

これは乳腺に限らず、すべての領域に通じる学び方だと感じました。

ただ症例を見るのではなく、
「自分ならどのように捉えるか」
「どこを所見として拾うか」
「どこが見えていなかったのか」
を確認する作業が、読影力を育てるのだと思います。

倫理委員会企画

研究倫理を学びましょう

次に聴講したのは、倫理委員会企画「研究倫理を学びましょう」でした。

研究倫理については日本学術振興会の研究倫理e-ラーニングでも学んでいましたが、超音波検査学会の視点からも改めて学びたいと思い参加しました。

とても分かりやすかったのが、Q&A形式で整理されていた点です。

日常業務の中で行う検討やデータ整理が、どこから「研究」に該当するのか。
患者さんの同意は必要なのか。
倫理委員会への提出が必要なのか、不要なのか。

こうした判断に迷いやすい部分が、具体的に整理されていました。

特に、臨床現場で研究や発表を行う際には、
「これは日常業務の延長なのか」
「学会発表や論文化を前提とした研究なのか」
を早い段階で意識することが重要だと感じました。

こちらの企画はオンデマンド配信がない予定とのことでしたので、現地で聴講できて良かったです。
また、学会ホームページにもQ&Aが掲載されているとのことでしたので、今後も確認していきたいと思います。

ランチョンセミナー

ランチョンセミナーは循環器領域を聴講しました。

内容が勉強になったのはもちろんですが、印象的だったのは会場の雰囲気です。

周囲の参加者の多くが、熱心にメモを取っていました。

学会に参加すると、講演内容そのものだけでなく、
「周りの方々がどのような姿勢で学んでいるのか」
を感じられるのも現地参加の良さだと思います。

皆さん本当に勉強家で、自分ももっと学ばなければと刺激を受けました。

特別企画(腹部)

Sono-Battle Royale

午後は、特別企画(腹部)「Sono-Battle Royale」を聴講しました。

腹部画像研究会の豪華版のような企画で、回答される3施設すべての読影が非常に素晴らしかったです。

同じ症例であっても、どこに注目するのか。
どの所見を重視するのか。
どのように鑑別を進めていくのか。

施設ごとの読影の組み立て方を比較しながら学べる、とても貴重な機会でした。

また、日常検査ではなかなか遭遇できないような症例も拝見でき、腹部エコーの奥深さを改めて感じました。

特別講演(腹部)

膵臓癌早期発見のファンタジー ~組織から攻めるエコーの役割~

今回、特に現地で聴講したいと思っていたのが、市原先生の特別講演
「膵臓癌早期発見のファンタジー ~組織から攻めるエコーの役割~」でした。

講演では、膵臓癌の早期発見を現実に近づけるために、病理所見をどのようにエコー所見へ落とし込むかが解説されていました。

印象に残ったのは、実質の「やせ」や膵管周囲の低エコーといった所見です。

単に膵管拡張や腫瘤を探すだけではなく、組織変化を意識してエコーで捉えることができれば、早期発見につながる可能性があるのではないかと感じました。

もちろん、現時点では体部・尾部での観察が中心であり、膵頭部は難しいという課題もあります。

それでも、
「病理で何が起きているのか」
「その変化はエコーでどのように見える可能性があるのか」
を考えながら検査することの重要性を、改めて学ぶことができました。

パネルディスカッション3

教育と精度管理から紐解く一人前の育て方

~検診と病院の実践例より学べ~

2日目の朝は、パネルディスカッション3
「教育と精度管理から紐解く一人前の育て方~検診と病院の実践例より学べ~」を聴講しました。

今回のJSSで、個人的にとても楽しみにしていた企画のひとつです。

各施設で、どのように新人教育を行っているのか。
どのように進捗を管理し、どのタイミングで独り立ちと判断しているのか。
教育と精度管理をどのように結びつけているのか。

自分自身も教育に関わる立場として、とても興味深く聴講しました。

教育は「教える」だけではなく「進捗を管理する」こと

特に印象に残ったのは、OJTの進捗管理についてです。

単に検査を教えるだけでなく、
「今どこまで進んでいるのか」
「進み過ぎていないか」
「本人の理解と実技が一致しているか」
を、指導側がしっかり管理する必要があるというお話がありました。

これはとても重要だと感じました。

教育では、つい「本人がどれだけ頑張るか」に目が向きがちです。
しかし実際には、指導側がどのような設計で教えるか、どのように評価するかによって、学習の進み方は大きく変わります。

指導側がしっかりしていないと、学習者は迷ってしまう。
改めて、教育する側の責任を感じました。

標準作業手順書やチェックリストの重要性

腹部エコーの教育では、標準作業手順書や教育チェックリストを活用している施設の取り組みも紹介されていました。

目標と進捗状況を可視化することで、学習者自身も現在地を把握しやすくなります。

「何を覚えれば良いのか」
「どこまでできるようになったのか」
「次に何を練習すれば良いのか」

これらが見える形になっていることは、学習者にとっても指導者にとっても大切だと思います。

自施設でも、教育項目や評価基準を言語化・可視化することの重要性を改めて感じました。

どの領域から覚えるべきか

「どの領域からエコーを覚えてもらうか」という話題も興味深かったです。

腹部から覚えてほしいという意見もありました。
理由として、腹部エコーではデプスやゲインなど、機器調整の基本を学びやすいという点が挙げられていました。

一方で、どの領域から始めるかについては意見が分かれる部分でもあります。

施設の検査内容、教育体制、本人の適性、求められる業務によっても変わると思います。

ただ、どの領域から始めるとしても、最初に「エコーを好きになってもらう」「楽しさを伝える」という視点は、とても大切だと感じました。

独り立ちの判断

独り立ちのタイミングについても、複数の考え方が示されていました。

一定期間、一定人数を経験したうえで判断するという方法。
半年程度を目安にするという考え方。
そして最終的には、「この人なら任せても良い」と思えるかどうか。

その中で印象的だったのが、
「わからないものを、わからないと思えるか」
という視点です。

エコーでは、すべてを一人で判断できることだけが重要なのではなく、
「これは自分だけで判断してよいのか」
「上級者や医師に確認すべきか」
を適切に判断できることも、とても重要です。

わからないものを「わからない」と認識できる人には、背中を押せる。
一方で、わからないものを「気にしない」と捉えてしまう場合には、もう少し見守る必要がある。

この考え方は、教育だけでなく精度管理にも直結するものだと感じました。

大会長企画3

フリーランスという選択 ~その魅力と現実~

最後に、大会長企画3「フリーランスという選択~その魅力と現実~」を聴講しました。

こちらもオンデマンド配信がない企画でした。

ソノグラファーの働き方として、フリーランスという選択肢があること。
その魅力だけでなく、現実的な課題についても知ることができ、とても興味深い内容でした。

超音波検査士としての働き方は、病院やクリニックに勤務するだけではなく、今後さらに多様化していくのかもしれません。

このテーマについては、自分の考えも整理したいので、詳しくは別記事でまとめたいと思います。

シュール感醸し出してる気が

JSSに参加して感じたこと

今回のJSSでは、腹部・循環器・教育・研究倫理・働き方など、さまざまなテーマを学ぶことができました。

以前の私は、学会に参加すると
「新しい知識を得ること」
「検査に役立つ所見を学ぶこと」
を中心に考えていました。

もちろん、それは今でも大切です。

しかし今回は、それだけではなく、
「どのように教育するか」
「どのように精度を担保するか」
「どのように研究としてまとめるか」
「ソノグラファーとしてどのように働くか」
という視点で学ぶ時間が多かったように感じます。

学会は、知識を得る場所であると同時に、自分の現在地を確認する場所でもあります。

自分が今どこにいて、これから何を学び、何を形にしていきたいのか。
今回のJSSは、それを考えるきっかけにもなりました。

現地でしか感じられない会場の空気や、参加者の熱量も含めて、とても貴重な学びの時間でした。

今後は、今回得た学びを日常検査や教育、そして自分自身の発信にも活かしていきたいと思います。

現地で拝聴出来なかったプログラムはオンデマンド配信で聴講しようと思います。
7月15日(水)~8月12日(水)15:00配信だそうです。ご興味のある方は是非!

おのこ

サイト運営者:おのこ

本サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
私は関東在住の臨床検査技師です。
超音波検査で全身スキャン出来るようになりたい!という気持ちから
・超音波検査士(消化器・表在・循環器・泌尿器・けんしん)
・血管診療技師
・JHRS認定心電図専門士
・乳がん検診精度管理中央機構認定技師
を取得しました。
このブログでは、超音波検査の症例や参加した学会・勉強会の感想、超音波検査士認定試験について書いています。
これから超音波検査の業務に携わる方、超音波検査士を受験される方のお役に立てれば幸いです。

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