【超音波検査 症例】脾過誤腫のエコー所見と鑑別ポイント

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症例

お疲れ様です。

「1月~3月までは健診業務が閑散期」という施設さんが多いそうですね。

私の職場では3月までがピークです。体調を崩さず新年度まで走り抜けたいな~と思っています。

今回はけんしんエコーで遭遇した脾過誤腫についてまとめてみました。

症例:けんしんエコーで発見された脾臓腫瘤(50代女性)

既往歴なしの受診者さんです。

脾過誤腫疑いのエコー画像

超音波検査所見|等エコー腫瘤とドプラでのバスケットパターン

脾臓と実質エコーが同等の円形腫瘤を認めます。

カラードプラでは

脾過誤腫疑いのエコー画像カラードプラです
脾過誤腫疑いのエコー画像カラードプラバスケットパターンのように見えます

バスケットパターンのようにも見えます。

肝臓や腎臓の腫瘤でバスケットパターンを認めたら悪性かなあと考えるのですが、

脾臓ってどうなんだろう?

血管腫?リンパ管腫?悪そうには見えないんだけど…なんて思いつつ、

カテゴリー4・脾腫瘍の疑いで提出しました。

造影MRI所見|脾過誤腫が疑われた理由

後日検査された造影MRI検査では、

『脾臓の尾側に4cm強の辺縁平滑な腫瘍性病変が見られ、いずれのシーケンスでも脾臓に近い信号を呈しています。過誤腫を疑います。』といった読影結果でした。

脾過誤腫ですか、初めて見ました。

まだまだ勉強不足ですね…ということで、調べてみました。

脾過誤腫とは|病理・特徴を文献から整理

脾臓過誤腫は、脾臓に生じる稀な良性非腫瘍性病変であり、正常な脾臓組織要素の異常な混合物から構成される。

最も一般的な構成要素は、無秩序な赤髄構造と、CD8陽性内皮細胞に覆われた洞様血管腔である。

これらの病変は通常、画像検査や手術中に偶然発見されるが、特に小児患者では、腫瘍効果や貧血・血小板減少症などの血液学的異常に関連する症状を呈する場合もある。

組織学的には、脾臓過誤腫は組織化された白髄を欠き、赤髄に類似した無秩序な血管腔と間質を特徴とし、時にリンパ球やマクロファージの集塊を伴う。

免疫組織化学的染色は診断に不可欠であり、内皮細胞におけるCD8陽性が過誤腫を他の血管性病変と区別する。

脾過誤腫の画像診断|超音波・ドプラ・CT・MRI所見

初期診断に推奨される画像診断法に超音波検査が挙げられていました。

超音波検査は、そのアクセス性の高さ、電離放射線を使用しない点、ドプラモードによる血管性の特徴付けが可能であることから、脾臓過誤腫の診断における初期画像診断法として推奨される。

超音波検査上、脾臓過誤腫は通常、境界明瞭な均一な等エコーまたは低エコーの腫瘤として認められ、パワードプラでは内部血流信号の特異的な「バスケットパターン」が認められることがあり、これは本診断を強く示唆する。

超音波所見が確定的でない場合や追加の解剖学的詳細が必要な場合には、造影CTおよびMRIによる詳細な特徴付けが有用である。CTでは、脾臓過誤腫はしばしば境界明瞭な軽度低吸収性腫瘤として認められ、進行性かつ持続的な造影効果を示す。MRIでは通常、T1強調画像で等信号、T2強調画像で高信号を示し、ガドリニウム造影後には進行性の均一な造影効果を呈する。

勉強会での所見共有|造影超音波での特徴

年末頃、クローズアップエコー【日大水曜日の定例勉強会】内のカテゴリークイズでも脾過誤腫が出題されていました。

造影超音波を実施されていたのですが、所見として『造影超音波ではあっという間に染まる』『染まり具合が周囲の脾臓とほとんど同じ』と仰っていました。職場では造影超音波検査をしないので勉強になります。

お断り|本症例は確定診断ではありません

定例勉強会の動画内でも仰っていましたが、今回の症例も脾過誤腫『だろう』なんですよね。

今回提示させていただいた症例は悪性の可能性が低いため、造影MRI以降他の検査はされませんでした。

病理診断はされていないので、そちらに関してはご理解をお願い致します。

ですが、ドプラではバスケットパターンを認める場合があるというのは新たな発見でした。

※本記事は症例報告ではなく、健診業務での一経験を振り返り、学習目的でまとめた内容です。

今回の内容が今後のお役に立てれば幸いです。

引用:

Hamartoma of the Spleen.
Archives of Pathology & Laboratory Medicine. 2009. Lee H, Maeda K.

Two Splenic Lesions in Need of Clarification: Hamartoma and Inflammatory Pseudotumor.
Seminars in Diagnostic Pathology. 2003. Krishnan J, Frizzera G.

Splenic Hamartoma With Bizarre Stromal Cells.
The American Journal of Surgical Pathology. 2005. Cheuk W, Lee AK, Arora N, Ben-Arie Y, Chan JK.

Symptomatic Splenic Hamartoma: Case Report and Literature Review.
Pediatrics. 1998. Hayes TC, Britton HA, Mewborne EB, et al.

Case Report: Splenic Hamartoma With Hematologic Disorders.
The American Journal of the Medical Sciences. 1996. Wirbel RJ, Uhlig U, Futterer KM.

Splenic Hamartomas in Two Children.
World Journal of Surgical Oncology. 2014. Zhang LF, Tou JF, Wang X, et al.

Basket Pattern Blood Flow Signals Discovered in a Case of Splenic Hamartoma by Power Doppler Ultrasonography.
World Journal of Gastroenterology. 2005. Nakanishi S, Shiraki K, Yamamoto K, et al.

Case Report: Unusual Presentation of Splenic Hamartoma; Computed Tomography and Ultrasonic Findings.
Clinical Radiology. 1992. Zissin R, Lishner M, Rathaus V.

From the Archives of the AFIP: Primary Vascular Neoplasms of the Spleen: Radiologic-Pathologic Correlation.
Radiographics : A Review Publication of the Radiological Society of North America, Inc. 2004. Abbott RM, Levy AD, Aguilera NS, Gorospe L, Thompson WM.

Imaging Findings of Splenic Hamartoma.
World Journal of Gastroenterology. 2004. Yu RS, Zhang SZ, Hua JM.

Splenic Hemangiomas and Hamartomas: MR Imaging Characteristics of 28 Lesions.
Radiology. 1997. Ramani M, Reinhold C, Semelka RC, et al.

CT and MR Appearances of Splenic Hamartoma.
Journal of Computer Assisted Tomography. 1992. Ohtomo K, Fukuda H, Mori K, et al.

【免責事項】
本記事は、超音波検査士認定試験の学習・教育を目的として執筆しています。
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おのこ

サイト運営者:おのこ

本サイトにお越しいただき、ありがとうございます。
私は関東在住の臨床検査技師です。
超音波検査で全身スキャン出来るようになりたい!という気持ちから
・超音波検査士(消化器・表在・循環器・泌尿器・けんしん)
・血管診療技師
・JHRS認定心電図専門士
・乳がん検診精度管理中央機構認定技師
を取得しました。
このブログでは、超音波検査の症例や参加した学会・勉強会の感想、超音波検査士認定試験について書いています。
これから超音波検査の業務に携わる方、超音波検査士を受験される方のお役に立てれば幸いです。

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